ビリー・ホリデーの『奇妙な果実』を私はずっと聞きたかった。
この印象的なジャケットもさることながら、いろいろなジャズ評論家がこぞって
「名盤」と挙げるこの1枚、この1曲。
だが、この歌そのものを他の歌手が歌っているのをあまり聞いたことがない。
『奇妙な果実』といえばビリー・ホリデー、ビリー・ホリデーといえば『奇妙な果実』。
その謎が今回このアルバムを手にしてやっとわかった。この歌が彼女のオリジナルで
あるという事は当然なのだけど、その歌の内容があまりにも想像と違いすぎてビックリした。
父親の死を悼んだ、人種差別の歌なのだ。
悲惨な過去を持つにしてはあまりにも淡々と歌うビリー。『奇妙な果実』のリアルな歌詞と、
ビリーの過去と、その淡白な歌い方のギャップが正直まだ違和感を覚える。
彼女のこの歌を心の底から理解できるようになるには、私はあとどの位人生経験を積めば
いいのだろう?この先、人生の節々で聴いてみたいアルバムだ。